テレビ番組などでは、悪人の不正を裁判で追求したり、無実の人の潔白を立証したりと弁護士が「公明正大な職業」として取り扱われています。
もちろん、そのような姿が真実のひとつでもあるわけですが、それが全てではありません。
弁護士は法律の知識をもとに人を助ける職業でもある反面、依頼人に有利に事が運ぶためなら、相手の嫌がる事を徹底的に遂行する職業でもあります。
例を挙げると
性的被害を受けた女性に裁判所で
「あなたには落ち度はなかったのか?」
「胸の開いた服を着ていれば、誘っていることになるのでは?」
など精神的にきつい言葉で尋問を行う事もあります。
また、示談交渉でも
「裁判になると私達は徹底的に追求する。そうなるとあなたの被害が多くの人に知れ渡ることになる。そうなると親御さんも心配するだろうし、結婚にも影響が出る可能性が高い。示談で話を終わらせてはどうか?」
と、半ば脅迫的な交渉を行う事もあります。
人として絶対にしてはいけない対応を理解していながら、平然と相手の嫌がることを行うのです。
例を挙げると
宮崎マッサージ店強姦事件
訴えられた男性経営者の弁護士が性的暴行の被害者に対して『暴行の様子を撮影したビデオがある。告訴を取り下げれば処分する』と脅すような言動を行った。
この弁護士は2014年3月下旬から4月初旬にかけて、ある被害者の代理人弁護士と示談交渉をおこなう際に、
(1)男性経営者が被害者との性行為を盗撮したビデオの処分(2)金銭のやり取りなし
(3)告訴の取り下げ
の3点を提案した。被害女性が「被告側弁護士から『暴行の様子を撮影したビデオがある。告訴を取り下げれば処分する』と脅された」と証言し、大きく報道された事件。
2015年に懲役11年の実刑判決が下されている。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_4444/
依頼人の「最善」(この場合は示談や減刑の要因)を得るためならば、程度の差こそあれど、上記のような言動は弁護人としては当たり前の対応となっています。
弁護士は依頼人の利益のみ追求する
究極を言ってしまえば、弁護士の仕事とは依頼人が喜ぶ結果を実現することが「最善」であり、そこに相手の心情やその後の状況などを考える必要はありません。
弁護士は「正義」を追求する職業ではなく、依頼人の利益をただただ追求する職業なのです。
裁判では、どちらか一方が得をすれば、どちらか一方は必ず損をします。
依頼人が人の道に外れているのかいないのか、正しいか正しくないかは全くの別問題で、依頼を受けた以上は「依頼人」に損をさせないために全力を尽くすのが弁護士の唯一の目的となります。
弁護士は綺麗事を並べて金銭が得られるほど、甘い職業ではありません。
弁護士を目指す前に、そのような現実は知っておいた方が良いでしょう。