職業データベースでは実際に空港保安検査員として働いている人に取材を行い、空港保安検査員の収入状況を調査いたしました。
空港保安検査員の初任給と平均年収
空港保安検査員の年収に関する正確な統計は存在していません。
そこで、現役の空港保安検査員に取材を行うと、空港保安検査員の平均年収は概ね300万円から400万円程度という回答が多数を占めました。
国家資格の取得や経験を積むごとに、徐々に給与は上昇していきます。
何しろ離職率が高いので、現役職員は30代以下の若手社員がほとんど。
全体の年齢が若いため、平均年収はかなり低いと思う。
新卒の場合
新卒で入社した場合の初任給は月収の額面で20万円程度。
手取りで10万円台後半になります。
年収で200万円後半から300万円程度が一般的です。
残業代は支給されるのか
残業代は支給されます。
ただし、拘束時間が長くなる傾向にあります。
空港保安検査員で年収1000万円は可能か?
空港保安検査員として現場で働いているうちは年収で1000万円を超える事はまず不可能です。
空港保安検査員の年収が低く抑えられる傾向にあるうえ、離職率の高い職業であるため、長期的に検査員として働き続ける人が殆ど存在していません。
一般会社であれば高給を得るはずのベテラン職員がほとんど存在していないという現状があります。
収入に男女差はあるのか?
収入に男女差が設定されることはありません。
男性でも、女性でも立場に応じた給与が設定されます。
なぜ空港保安検査員の年収は低いのか?
航空機・空港の安全を守る重要な仕事であるにも関わらず、なぜ空港保安検査員の収入状況は芳しくないのか?
それは保安検査員の委託構造が大きな原因のひとつになっています。
※図の航空会社は理解しやすくするための一例。
検査会社(民間警備関係企業が中心)は航空会社から委託契約料を支払われる形で検査員を雇用し、空港内で保安業務を行っています。
契約料が検査会社の収入となるわけですが、検査員の収入状況が芳しくないのは単純にその契約料が十分でないからです。
契約料の引き上げは各航空会社の同意が必要
また、契約料は数ある航空会社の中で一社だけ上げることは不可能で、各航空会社に同様に対応してもらう必要があり、話がまとまりにくい原因の一つになっています。
多数の同意を得られても、一社でも同意が得られないと契約料の変更は難しくなります。
航空会社も現状の問題点は認識していますが、航空会社自体に契約料を引き上げるだけの経営体力がないという事情もあります。
待遇改善の兆しも
成田国際空港会社(NAA)の調査によると、2019年4月に約940人いた同空港の検査員のうち、4分の1以上の約240人が1年後に辞めている。
※産経新聞
長時間勤務・低賃金という労働環境の劣悪さのため、ここ数年は検査員が大量に離職してしまうケースが増えています。
その結果として検査業務が遅延し、空港運営に支障をきたすケースが増加しています。
2020年には、海外からの大量旅行客が押し寄せる東京オリンピックを迎えるなど、インバウンドの増加が予想され、このままでは大きな問題に発展することは確実です。
そこで、大量離職の流れをせき止めるため、空港保安検査員の待遇改善を実現しようという動きが国を挙げて活発化しています。
いつ、どの程度まで待遇改善が進むのかは不明ですが、将来的には少なくとも現状よりは改善していくことが予想されています。