2021/01/132023/01/20なるには

海外サッカー留学はプロへの近道なのか|実際の状況を紹介

サッカー選手への夢を叶えるため、海外留学を経て現地でプロになりたいと考える若者も増えてきています。

日本から世界のトップリーグを目指すよりも、海外のクラブに所属してそのままトップリーグで活躍した方が「近道」と考えているようですが、現実はどのようなものなのでしょうか?

そこで実際にサッカー留学をした方に実情を取材いたしました。

 

留学には2種類存在する

サッカー留学には2つの種類があります。

①海外留学先のチームからオファーがある留学
②自ら海外へ向かう留学

①海外チームのスカウト・オファーから留学

海外のプロチームから実力が認められ「来てほしい」と依頼されるケースであれば問題はありません。

この場合は留学というよりも、現地で「トップチームのプロサッカー選手になるためのトレーニングをしてほしい」というスカウト・オファーになります。

言葉の壁やサッカースタイルの違いなどはありますが、手厚く歓迎してくれる事は間違いありません。

オファーに応じて留学する形であれば成功する可能性は高くなります。
そもそも海外クラブから認められる程の実力を持っているわけですから、仮に現地でプロになれず帰国したとしても多くのクラブから声はかかります。

代表的選手
・久保建英選手 ※バルセロナのカンテラに合格
・玉乃淳選手 ※アトレティコ・マドリーにユースチームにスカウト
・中井卓大選手 ※レアル・マドリードのカンテラに合格

②自ら海外への留学

海外からのオファーではなく、自ら留学先を探して挑戦するケースの場合です。

日本には海外への紹介業者・個人が存在しており、海外クラブへはそのような業者の紹介で留学するケースがほとんどです。

ただし、結論から言えばほとんどの選手がプロにはなれずに帰国しているのが現状です。

代表的選手
・三浦知良選手 ※中学卒業後からブラジルに留学
・中澤佑二選手 ※高校卒業後にブラジルに留学

三浦知良選手がブラジルに渡り、名門クラブ「サントス」のプロ選手として日本に凱旋してきた事から日本でも海外留学への憧れのようなものが存在しているのは確かです。

三浦知良選手の後を追って、それこそ何百人以上もの若者がブラジルに留学していきましたが、プロとしてJ1リーグで活躍できた選手は中澤佑二選手くらいです。

実際にブラジルでプロ契約を勝ち取った選手もそれなりにいましたが、その多くは短期間で契約が打ち切られて日本に帰国しています。

日本に帰国後もJ1リーグで活躍する事は難しく、J2・J3・JFLにテストを経て入れるか入れないかといったレベルです。

結論を言えば「本人が望む形の留学」はプロサッカー選手(Jリーグ)への近道ではありません。

もちろん、本人が望んでの留学は「日本のプロチームから声がかからなかった」ということですから、もともとの能力が足りていないという要因もあります。

「プロ選手になる」だけであれば可能性はある

サッカーのプロ選手になるだけであれば、留学からも可能性はあります。

というのも、世界にはJリーグよりも遥かにレベルの落ちるプロサッカーリーグ(2部・3部を含む)が存在しており、そのようなリーグであれば一定以上のスキルがあればプロ契約を結ぶことも可能になります。

実際にルーマニアやブルガリア、オーストラリアなどで活躍している日本人プロ選手も少なくありません。

ただし、給料は薄給で練習環境は十分ではありません。
日本に帰国したとしても、Jリーグのクラブから声がかかることはほとんど無いのが現実です。

ブラジルへのサッカー留学経験者にインタビュー

2000年代前半にブラジルへサッカー留学をしていたAさんにインタビューを行い、実際の留学がどのようなものなのかを取材しました。
※Aさんは1年ほど留学をしていましたが、プロにはなれませんでした。

どのような経緯で留学を?

知り合いにエージェントの方がいたので、その方にお願いしてブラジルとの手続きを代行してもらいました。

宿泊先やチームの選定などすべてをお任せして、基本的にはこちらは費用を支払うだけになります。

費用はどのくらい?

本格的にプロを目指すとなれば、滞在半年以上で100万円以上は必要になると思います。
年単位になると、それこそ数百万は必要になりますね。

後は試合に出るにはビザを取得する必要があります。
ビザの問題でトラブルが発生して、一時帰国を余儀なくされることもあります。

元日本代表の中澤選手もビザの関係でブラジルでのプレーを諦めたみたいですね。

実際にプロになれる?

日本人でも下位リーグの小さなチームであればプロ選手として契約できる選手はいます。
ただ、三浦知良選手のように「サントス」クラスのビッグクラブで活躍している選手はいません。

ブラジルのトップ選手は本当に上手いし、速いし、強い。
サンバのリズムではないですが、ドリブルが染み付いています。
人口も日本の倍くらい。上手い選手がそこら中にいる感じで、競争は凄まじく激しいです。

後は日本人は結局は「お客さん」なので、扱いもそれなりです。
当たり前の話ですが、良いところは自クラブのブラジル人にあてがう感じですね。

現地での生活は

治安も悪いし、ご飯も美味しくはない。
豆料理に慣れるまではなかなか大変です。

メッセージがあれば

サッカー留学といえば聞こえは良いですが、100人来たとしてもほぼ全員がプロにはなれません。

私は化け物だらけのブラジルに行ってみて、「私にはここまではなれないな」いい意味で諦めがつきました。

一つの夢に対しては良いかもしれませんが、現実はかなり厳しい事を知っておいてもらいたいですね。

まとめ

様々な調査・取材を通じて感じたことは、サッカー留学は相手側からのオファーに応じる形以外はなかなか厳しい未来が待っているという事です。

海外で自分の能力を試したい、チャレンジしてみたいだけなら問題はありませんが、帰国して日本の「プロサッカー選手」になるには少し遠回りな印象を受けました。

ただ、1選手として海外で自分を成長させたいという思いも十分に理解できます。

海外留学という選択肢を選ぶなら、語学力や環境の調査など念入りに事前準備をしてからトライすると良いでしょう。

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