Jリーグチームが行うプロテスト。
かつては、スカウト網に引っかかりきれなかった逸材を探すべく行われていましたが、結論から言うと、現在ではJリーグでプロテストを行っているチームはありません。
プロテストはなぜ行われないのか?
先程も述べましたが、現在ではJリーグのチームではプロテストは行われていません。
その理由は、インターネットの発達によってスカウト網が全国に浸透したため、逸材を取りこぼすことがなくなったからです。
インターネットの恩恵と明確に言いきれるものではありませんが、現在ではJリーガーになれるくらいの良い選手がいれば、必ずどこかから情報が入る仕組みになっています。
スカウトは全国の強豪校の監督やコーチと常に情報をやりとりをしており
うちの○○という選手はプロになれるくらいの選手だよ。
このあいだ対戦した~高校の○○という選手はすごくいい選手だった。
メールやラインを通じて、このような情報が共有されます。
直接でなくても、インターネットやSNSでも話題になるため、良い選手の情報は自然に入手できるようになっています。
そのような理由でプロレベルの良い選手は既にどこかのチームに獲得されており、プロテストを行ったところで基準以下の選手しか集まらなくなりました。
結果としてどこのチームもプロテストを開催する必要がなくなったというわけです。
現代では逸材が埋もれるようなことはありません。
公募のプロテストから良い選手はとれないのが現実です。
プロテストは完全に行われていないのか?
Jリーグを目指すチームの立ち上げ時や地域リーグのチームクラスであれば入団セレクションが行われる事があります。
ただし、それらのチームに関しては「プロ契約」かどうかは不明です。
また、下位リーグのチームであっても、選手はスカウトからの獲得がメインとなるためテストからの獲得はほんの数人になることがほとんどです。
海外のチームは現在もプロテストが行われている
海外チームの場合、プロテストから選手を採用しているチームもあります。
ただし、4大リーグと呼ばれるスペインやイタリアなどの1部チームではなく、2部以下や北欧、東南アジアなどマイナーなプロリーグが中心になります。
プロテストではどんな事が行われるのか
テスト方法はチームによって様々ですが、単純な練習参加で可否を判断するチームがほとんどです。
紅白戦や戦術練習を1週間程度行い、プレーの質から判断されます。
かつての日本で行われていたプロテストでは
1500メートル走:4分台
リフティング:落とさずに規定回数
など、一定の基礎テストに合格した後、試合が行われ、能力の高い選手が2次選考に進む形式が一般的でした。
プロテストの代わりに練習生
Jリーグのチームでは現在ではプロテストが行われなくなりましたが、近い制度として練習生という存在があります。
練習生とは本契約は結んでいませんが、実力を見るために練習参加をクラブから許可されている選手のことです。
練習生はチーム所属選手と一緒に一定期間練習を行い、活躍次第で契約が可能になりますが、練習生から本契約に至る確率はかなり低く、10人に1人いれば良い方です。
練習生からプロになり、日本代表で長く活躍した元川崎フロンターレの中村憲剛さんは
プロ生活で毎年何人もの練習生が来ていたけど、契約になったのは谷口博之(元川崎フロンターレ※元日本代表)くらい。
と、練習生からプロになる厳しさを書籍で公表しています。
練習生には2つのパターンがある
②クラブも契約を迷っており(ほぼ契約する気はない)、練習参加させることで能力を確認したい練習生。
①の場合はその選手が望めばほぼ契約が結べるクラスの選手で、有力な新卒選手が対象。
他チームとの獲得競争になっている状況で、監督と直接話ができたり、GMクラスが練習を見学に来たり、紅白戦に参加させてもらったり、と手厚い待遇で扱われます。
選手が様々なチームの練習に参加して、どこのチームにするか選択している状況。
②の場合は、「とりあえず参加してもらって能力を見てみよう」と考えているパターンで、ほとんどが契約を結ぶことができずに、一定期間で終了となります。
練習生になるには
練習生の一般公募はしておらず、何らかのコネクションがないと練習生になることはできません。
コネクションとはクラブと関係のあるサッカー関係者とのつながりのことで、大学・高校のサッカー部監督やコーチ、代理人、元プロサッカー選手などが、クラブに口利きをする形で練習生として参加することがほとんどです。
何のコネクションもない状態でJリーグクラブに直接問い合わせて練習参加を頼み込む人も数多くいますが、ほぼ100%門前払いになります。
「プロレベルの良い選手が埋もれている事はない」というのは周知の事実です。
関係者の紹介なしで練習参加が認められることはまずありません。
もしコネクションがない状態で練習生としてプロチームへの参加を希望するなら、地域のサッカー有力者や自身が所属したチームの監督などに紹介してもらうしかありません。
ただ、紹介者も実力が足りていない選手を紹介することはなく、押しかけても無駄足に終わることがほとんどです。
練習生からプロになった有名選手
練習生からプロになった選手の一覧です。
◆播戸竜二選手
1997年、月給10万円で練習生として入団し、本契約を勝ち取る。
◆中澤佑二選手
練習生として入団し、背の高さが監督の目に止まり本契約を勝ち取る。
その後は日本代表の不動のレギュラーまで上り詰める。
◆中村憲剛選手
2003年、練習生として入団し、本契約を勝ち取る。
当時は線が細く、「あんな華奢な選手とっても成功しない」と言われていたそうですが、最終的には日本代表、川崎フロンターレの中心選手として活躍するまでになりました。
上記の選手以外にも練習生からプロ契約を結んだ選手は数多くいますが、日本代表クラスまで成功した選手はほんの僅かです。