現役の脚本家に脚本家に向いている人、向いていない人がどのような人なのかを取材しました。
脚本家・シナリオライターに向いている人
物語を考えることが好きな人
脚本家としての最重要能力は「考えることが好き」な人です。
どの脚本家にも共通することですが
「あんなことやこんなことがしたい」
「あの人がこれをやったらどうなるんだろう」
など、四六時中考え、行動し続けている人が多いようです。

空想癖があるくらいが丁度いいでしょう。
新聞、テレビ、趣味、過去や現在の出来事から、面白い話がインスパイアされることも多々あります。
どんなものでも、ネタになることはあります。
あらゆるものに対してアンテナを張っている人は強いです。
様々な視点で物事が見られる人
例えば恋愛ドラマがあったとして、脚本家は男性側の気持ちも女性側の気持ちも理解しておかなければなりません。
もっといえば、登場人物すべての心情を把握しておく必要があります。
偏った自分の意見にとらわれず、様々な視点で物事が見られる事は脚本家の大切な資質といえます。
コミュニケーション能力の高い人
制作作業はディレクターやプロデューサーとの共同作業のため、コミュニケーション能力が高い人が向いています。
俳優や予算の都合による変更・修正も日常茶飯事で、柔軟に対応できることも必須条件になります。

時にはディレクターから「改善案」と提示されながら、実際には「改悪」な時も多々あります。
理不尽にも気持ちを切らさず書き続けられるか。
また、出演予定の俳優が不祥事で出演ができなくなったなど、トラブルは結構あります。
そのような状態でも柔軟に対応できるかどうか。
アピールできる人
色んな人に自分の書いた作品を見てもらう知ってもらう努力をできる人は強いです。
どんなにいい作品を書いていたとしても、知ってもらわない限りは世に出ることはありません。
日本人が苦手な部分ですが、業界関係者に積極的に働きかけのできる人は成功しやすい傾向にあります。
書くのが早い人
新人の頃は単発ドラマが中心で文量が少いため、それほど執筆スピードが求められる事はありません。
ですが、それなりの経験を積み、「連続ドラマ」を担当するとなると話は異なります。
連続ドラマはスケジュールがかなりタイトに設定されているため、酷い時には前日に打ち合わせをして、今日明日にでも仕上げて欲しいと要望される事もあります。
実際問題、1日で脚本を仕上げることなど不可能なのですが、レスポンスの早い脚本家ほど信頼されやすく評価は高くなります。
長時間の執筆が苦にならない人・集中力のある人
脚本家は原稿用紙何百枚にもわたる文章をひたすら1人で書き続けます。
締切前にはホテルに何日もこもって、起きている間はひたすらに書き続ける事もあります。
長時間の執筆作業が苦にならない人、むしろ「好き」な人に向いている職業です。
体が丈夫な人
◆長時間座り仕事を続ける
脚本家は意外に体の強さが求められます。

脚本家のジェームス三木さんは「胃の強さ」を脚本家の適性にあげていたくらいです(笑)
メンタルも含めての意味があると思いますが、食べられない人は長時間仕事ができませんから。
脚本家であれば言っているその意味がわかります。
とても深い言葉ですね。
メンタルが強い人
脚本家は精神的なプレッシャーも多い職業です。
作品を仕上げた後の視聴率や視聴者の反響。
業界誌やインターネットで糞味噌に書かれることも。
◆安定していない仕事状況
次にいつ仕事が来るかわからない不安。
たとえ売れっ子であっても、不発が続けばすぐに凋落。
◆人間関係
仕事が来るか来ないかは人脈頼り。
関係のあるプロデューサーが異動になれば、また1から人脈つくり。

精神的なプレッシャーに耐えられずに、うつ病になってしまう人もいます。
締切を守れる人
役者・スタッフがスタンバイしているため、締め切りを必ず守る責任感を持っていないと大変なことになります。
実際の所、遅筆の脚本家もそれなりに存在しているのが現実ですが、指定期日までに書き切る能力は脚本家としての大事な基礎能力のひとつです。

撮影が始まっても書き上げて来ない脚本家もいます。
締切を守れる人ほど信頼されやすいです。
情熱のある人
やはり、「いい作品を作りたい、世に出したい!」という気持ちが強い人ほど成功する可能性が高いようです。
実際にはテレビ局や時勢、視聴率の関係で思うように書き切る事は難しいのが実情ですが、あらゆる不合理を跳ね返すの気持ちを持っている人は強いです。
脚本家としての評価は、最終的には「いい作品を生み出したいという情熱がどれくらいあるのか?」次第なのかもしれません。
脚本家・シナリオライターに向いていない人
人の意見を聞き入れることができない人
脚本家は、自分の面白いと思うものを書けば良いのではなく、プロデューサー、ディレクターや俳優の意見を聞きながら、脚本に反映する必要があります。
自分自身の考えを一方的に押し付けるような人であれば、仕事を任せてもらうことができなくなります。
関係者からの意見を反映しながら、新しい作品を生み出し続けられる人に仕事の依頼がくる世界です。

脚本を書く事はある意味でチームプレーです。
人間関係が不得意な人
人との関わりが得意でない人は脚本家に向いていません。
小説家であれば作品を書き上げるだけで、世間一般とは距離をとる生活をしている人もいますが、同じ執筆業でも脚本家の場合はそのような働き方は成立しません。
「書くだけ」で生活がしたいのなら、脚本家は推奨できません。

脚本家は意外とサラリーマンです。
テレビ局・プロデューサーと視聴者の間に挟まれた、中間管理職的なところも多いです。
高齢の人
脚本家という職業は実力と需要がすべてであり、理論上は何歳でも可能です。
実際、脚本界の大御所の山田太一さん、倉本聰さんは80代でも脚本を執筆し続け、業界からの支持も得ています。
ただし、それは完全なレアケースで60代を超えて働けるような人はなかなか存在していないのが現実です。

長時間の座り仕事に、締め切り前の睡眠時間削減と体力を消耗する仕事なので、歳を取るほど辛くなります。
プロデューサーも自分より歳上の人に指示はしづらいく、起用しづらいようです。
感性があわなくなる
年齢を重ねるにつれて、やはり世代間のズレは生じてきます。
50歳の脚本家が10代の青春作品を書き上げる事自体は可能ですが、その作品が若い人たちの「心を震わせる」事ができるかどうかと言えば、なかなか難しいものがあります。
その世代のことは、その世代に近い人ほどわかりやすいものでしょう。
テレビや映画の年齢設定は20代から30代が中心ですから、必然的に高齢の脚本家は採用されにくくなります。