2020/06/122022/02/14給料・収入・待遇

脚本家・シナリオライターの年収・給料|喰えない人がほとんどの現実

脚本家というとお洒落でスマートなイメージのある職業ですが、正直な所、金銭面でいえばなかなか厳しいのが現実です。

現役脚本家に聞いた脚本家の収入の現実について御覧ください。

 

脚本家は兼業がほとんど

脚本家として働いている人は、そのほとんどが兼業脚本家で別に仕事をしながら脚本を書いています。

脚本家の年収は数千万円など、一部のトップ層を切り取って「誇大広告」している情報もありますが、まず、大前提として脚本家一本で生活している人は殆どいないという現実は知っておいた方が良いでしょう。

純粋な脚本家の収入だけで生計を立てられている人は、おそらく日本に100人もいません。
※生計の水準がどの程度かにもよる

脚本家の本業

脚本家が本業か、別の仕事が本業かはその人の考え方次第ですが、脚本家に多い本業を紹介しましょう。

何らかの形で業界と関係のある仕事に就いている人が多いようですが、介護福祉の仕事や普通の会社員など全く関係のない職業に就いている人もいます。
※逆に業界以外の仕事のほうが脚本に役に立つという人もいます。

脚本家に多い本業・ライター
・雑誌、書籍関係
・テレビ関係
・ラジオ関係
・ライティングスクール講師 など

有名脚本家の本業例

◆山本むつみさん(ゲゲゲの女房)
出版社の編集者。

◆中園ミホさん (やまとなでしこ、ハケンの品格)
占い師として活動。

◆伊藤ちひろさん(世界の中心で、愛をさけぶ)
美術スタッフ。

脚本家の年収・給料

脚本家は個人事業主であり、1話あたりの完全出来高制です。

また、作品の規模や担当する本数によって収入が大きく増減するため、年収や月収で平均をとることは難しいのが現実です。

脚本家

売れていない人、喰えない人が大多数であり、脚本家ほど平均年収という言葉が意味をなさない仕事はないと思います。
無理矢理に数字を出したとしても平均年収は100万円にも満たないでしょうね。
そういう意味では芸人や小説家と似ています。

脚本家の収入の内訳

脚本料 ゴールデン連ドラ:50万円~100万円程度
深夜ドラマ:15万円程度
プロット料 数万円程度
印税 再放送:脚本料の半額
DVD:規定の印税率に応じて

脚本家の収入源としては「脚本料」と「プロット料」と「印税」の3種類があります。

ただ、プロット料は企画が通らなければ支給されず、通ったとしても支払われない場合もあります。※関係性や状況次第

また、再放送やDVDなどの印税は作品がそれなりにヒットしていないと得ることはできないため、実際には「脚本料+プロット料」の場合がほとんどです。

脚本家

企画書に簡単なプロットを付ける場合が大半です。
企画が通らなかった場合にプロット料が出るか出ないかは、プロジェクトの大きさにも左右されます。

一本あたりの最低報酬

日本脚本家連盟では30分に対する最低脚本料が規定されています。

テレビ番組

ジャンル 地域 NHK 民放
ドラマ脚本 全国 19万円 18.75万円
ローカル 9.8万円 8.23万円
構成脚本 全国 9.5万円 7.38万円
ローカル 4.9万円 3.85万円
ドキュメンタリー 全国 -

13.125万円

ローカル - 5.761万円
翻訳脚本 全国 15.2万円 -
ローカル 7.84万円 -
アニメ脚本  

15万円

ラジオ番組

ジャンル 地域 NHK 民放
ドラマ脚本 全国 10.3万円 5.85万円
ローカル 5.7万円 3.95万円
構成脚本 全国 5.15万円 2.9万円
ローカル 2.85万円 2万円
翻訳脚本 全国 8.24万円 -
ローカル 4.56万円 -

NHKと民放で脚本料に差がつけられています。

この数字だけを見るとNHKが高額の脚本料を支払っている印象を受けますが、この数字は「最低脚本料」であり、実際には民放の方が高い脚本料が支払われています。

一本あたりの脚本料の目安

一本あたりの脚本料は人気や経験によって様々ですが、基本的には上記の最低脚本料の1.5倍程度が平均水準です。

全国規模かローカルか、新人か大御所クラスか、によっても脚本料に差がでます。

映画の脚本料が一番高額になりますが、関わる期間が長期間になりやすく、制作予算次第では割りに合わない仕事になることもあります。

脚本料30分単発ドラマ:15万円~30万円程度
2時間の単発ドラマ:150万円程度~
1クール3ヶ月の連続ドラマ:1本50万円~100万円程度
映画:0円~300万円以上 ※予算規模次第

制作者によっても異なる

テレビドラマの場合、テレビ局自身が制作している作品と制作会社が請負制作している作品があります。

制作者の違い◆テレビ局制作
脚本家への脚本料が高い。

◆制作会社制作
制作会社の取り分が増えるため、脚本家への脚本料は安くなる。

一年あたりに執筆可能な脚本の数

1年に請け負える脚本の数はどのくらいか?

結局はひとつの仕事の手間暇がどの程度になるか、どこまでを仕事とするか、で左右されるため、何とも言えないのが実情ですが、おおよその目安は以下のようになります。

ひとつの仕事に必要な期間30分単発ドラマ:1ヶ月~2ヶ月程度
2時間の単発ドラマ:数ヶ月程度
1クール3ヶ月の連続ドラマ:半年程度
映画:1ヶ月から長い場合は年単位

同時進行でいくつかの仕事を掛け持ちすることも可能です。

連続ドラマを担当できれば、それだけでサラリーマンの年収以上を稼ぎ出すことが可能ですが、年に何本もこなすことはできません。

印税収入

脚本家の収入を最大化するのは印税収入です。

脚本料だけでは、どれだけ頑張っても年収2000万円程度が限界値ですが、印税に関しては青天井です。

大ヒットドラマを一作品書くことができれば、それだけで年収1億円は突破します。

再放送

脚本料の半額程度 ※規定による
DVD パーセンテージは契約次第。
ノベルティ 作品の書籍化 ※原作者の場合、印税率は約10% 契約次第
映画化 ドラマの映画化 ※契約次第
大ヒットドラマの例ドラマ「半沢直樹」
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」
ドラマ「ひとつ屋根の下」
ドラマ「古畑任三郎」

多くの作品がDVD化、ノベルティ化されています。

買い取り契約

買取契約は脚本家の印税権利を認めず、制作者側があらゆる権利を取得する契約です。

お互いが納得していれば成立する契約ですが、業界では契約に関して「なあなあ」になっている部分も多いため、事前通達がされず完成後にトラブルになるケースもあります。

少しでも制作費を回収したい「予算の少ない作品」に多い契約です。

脚本家にボーナスはあるのか

残念ながら脚本家にボーナスが支給される事はありません。

作品がDVD化されるなどの印税がボーナス的な収入になります。

脚本家の年収例

脚本家クラスに応じた年収例を紹介します。
※主にテレビ関係の脚本家

実際の所、一本あたりの脚本料は脚本家の人気や予算によって様々で、明確な基準が存在していないのが実情です。

新人

大多数の脚本家はこのランクに所属しており、脚本だけでは生活が厳しいクラス。
単発ドラマを担当する程度で十分な収入は得られない。

単発ドラマ:20万円程度(30分)

中堅クラス

2時間ドラマやテレビドラマを多数手掛けるクラス。
このクラス以上であれば脚本家一本で生活する事ができる。

60分ドラマ 50万円~60万円程度。
2時間ドラマ150万円程度。

年収数百万円から1000万円程度。

人気脚本家クラス

毎年、キー局ゴールデンの連続ドラマを手掛けるクラス。
依頼数多で年間スケジュールはほとんど埋まっており、脚本家の中で一番収入が多い。

60分ドラマ一本の脚本料80万円程度。
12話、その1作品で年収は1000万円を超える。

その他にも再放送などで定期的に印税収入が発生する。
ドラマがヒットすればDVD化やノベルティ化で億単位の年収になる事も。

大御所クラス

スペシャルドラマ(2時間)や映画の脚本を手掛ける。
スペシャルドラマの脚本料は300万円以上。

過去に手掛けてきたドラマや映画の有名作品が多く、再放送が多数あり定期的に印税収入が発生する。

年収は1000万円を超えるが、あまり仕事は受けない。

脚本家の社会保険

会社員など兼業脚本家の場合は本職の社会保険に入っていることがほとんどです。

専業脚本家の場合、基本的には個人事業主となるため国民健康保険に加入しています。

脚本家として喰えている人はごく僅かという現実

上記の収入状況からもわかるように、脚本家の殆どは兼業で一握りのトップ層を除いては喰える職業ではありません。

たとえ一時期のトップ脚本家であっても、その後に良い作品が書けなければ一瞬にしてその座から凋落してしまいます。

数年前にはゴールデンドラマを連続担当していた人でも、現在ではどこで何をしているかわからないといった例も珍しい話ではありません。

厳しい現実ですが脚本家を目指すならば、そのような現状を理解しておいた方が良いでしょう。

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