ドラマや映画で使用される事も多い、警察の隠語、警察用語を集めました。
なぜ、別の言葉で本来の意味を濁すのかと疑問に感じる人も多いかもしれません。
その理由はシンプルなもので、本来の意味、例えば「強盗」や「覚醒剤」について話をしている事が周りの人に知られると、変な混乱を招いたり、トラブルになるケースがあるからです。
警察官であれば、強盗やクスリの類はそう珍しい話ではありませんが、一般人からすれば異様な会話に聞えるのは間違いありません。
無用なトラブルを避けるために昔から隠語が使用されており、時代の流れと共に隠語も様々な言葉に変化していきます。
ヤクザ用語と被る言葉が多いのも、お互いの関係が近いところにあるという証明なのかもしれません。
ア行
◆あいきん(相勤)
捜査時に行動を共にする相棒・パートナー。
◆あいちゃん
スリ。相手屋師(スリ)の愛称から。
◆アオフダ・アオオニ
青切符のこと。
◆赤(アカ)
共産主義者、社会主義者、共産党を指す隠語。侮蔑語。
「あいつはアカだから、公安から常にマークされてるよ」
◆赤犬(アカイヌ)
放火。放火犯の事。
◆赤馬(アカウマ)
放火。放火犯の事。連続放火犯は赤猫(アカネコ)。
◆アカフダ・アカオニ
赤切符のこと。
◆アカポリ
婦人警官のこと。
◆アヒル
警察官のこと。
帽子の形状がアヒルの口に似ていることから。
◆アミウチ
非常警戒。網の目のように包囲網を張ることから。
◆アラウ(洗う)
身元調査のこと。
◆アンバコ
留置所のこと。暗い箱のイメージから。
◆あんぱん
シンナーの事。
◆いかもの
偽物のこと。
◆199(イチキュウキュウ)
殺人事件のこと。
刑法199条に殺人の規定がある。
◆犬(イヌ)
捜査機関に侵入をするスパイ。
◆イリ(入り)
強盗などが侵入した入り口、侵入痕のこと。
◆うかんむり
窃盗・空き巣。「窃」の字から。実際の部首は「あなかんむり」。
◆ウサギ
脱走犯のこと。
◆牛の爪・馬の爪
「牛の爪」は犯人などがわかっていること。
牛の爪が割れていることから。割れる=判明。
同様に「馬の爪」は割れていないことから、犯人がわかっていないことの意味になる。
◆うたう・落ちる
自供する。
◆ウラ(裏)
裏付けのこと。
◆ウリコミ
密告、タレコミのこと。
◆エーゴウ(A号)
前科・前歴紹介のこと。
◆H(エイチ)
ヘロイン
◆S(エス)
覚醒剤
◆エス
スパイ・組織の内通者のこと。
◆オシドリ
二人組のスリ。
◆お礼(おふだ)・フダ
警察手帳・捜査令状・逮捕状など。
◆おでこ
警察官の事。
◆踊る
犯人や容疑者が激しく抵抗すること。
◆オフクロ
警察副署長のこと。
◆オブケ
警部のこと。
◆オミヤ
迷宮入り。
◆母屋
都道府県本部のこと。
◆オヤジ
警察署長のこと。
◆泳がせる
犯人を逮捕・確保せずに監視すること。
カ行
◆ガイシャ
被害者のこと。
◆カクヒ(カク秘)
最上級の極秘事項のこと。
◆ガサ、ガサ入れ
捜索の事。ガサ入れは家宅捜索。
◆ガサジョウ(ガサ状)
押収・捜索・差押許可状のこと。
◆買い物師
万引きの常習犯。
◆ガタ
被疑者が警察官に抵抗すること。
◆かぶら、かぶり
否認のこと。
◆カリ(狩り)
一斉検挙のこと。
◆カンイ
簡易書式例対象事件のこと。
「犯行の形態が単純であり、証拠が明らかである事件」のうちでその適用対象として指定されたあらかじめ定められた事件。
◆完落ち
容疑を完全に自白すること、自白している状態。
◆カンカン
トラックやダンプカーなどの積載重量の取り締まりのこと。
◆機捜(キソウ)
機動捜査隊のこと。
◆ギャクタン(逆探)
逆探知のこと。
◆キンタイ(緊急逮捕)
緊急逮捕のこと。
◆キンパイ
緊急配備のこと。
◆グニゴム
人質のこと。
◆グニ屋
質屋のこと。盗品の換金などで質屋が利用されることが多い。
◆ケイハン
軽犯罪法違反、銃刀法違反のこと。
◆ゲソ
容疑者や被害者の足跡のこと。
「ゲソをつける」という使い方をすると「やくざになる」という意味になる。
◆けつをあらう
犯罪の証拠を探すこと。
◆けっし
尾行のこと。
◆ケツモチ
バックの暴力団のこと。
◆ゲンジョウ
事故現場、事件現場のこと。
◆ゲンニン
現状確認のこと。
◆現逮(ゲンタイ)
現行犯逮捕。
◆現着(ゲンチャク)
現場に到着すること。
◆交機(コウキ)
白バイなど交通違反の取締を行う交通機動隊のこと。
◆腰道具
拳銃の事。かつては「チャカ」と呼ばれていた。
◆ゴタ
喧嘩、もめごと、トラブルのこと。
◆コロッケ
女性の殺人犯。
か弱い外見と殺人の残虐性をコロッケに重ね合わせて。
◆ゴンゾウ
組織の足手まといになる警察官のこと。
◆ごんべん
詐欺。詐欺の文字のごんべんの部首から。
サ行
◆サイコ
「妻子」のこと。
◆詐欺開け
宅配便の配達員を装って侵入する強盗の手口。
◆桜田門
警視庁のこと。警視庁の場所が桜田門のため。
◆330
被害者のこと。※警察無線の通話コードから派生している
「頭の330」で
頭の被害者=精神的におかしい人
というような使われ方もする。
◆さんずい
汚職事件のこと。
◆C
コカイン
◆シキカン
被害者の家族や知人への聞き込みのこと。
◆シキテン
見張りのこと。
◆沈める
盗んだ物を換金してお金にすること。
◆地取り
周辺への聞き込み捜査のこと。地取り捜査。
◆シノギ
暴力団員が金銭を得ている仕事のこと。
◆シャブ
覚醒剤のこと。
◆じゅうさん
重要参考人のこと。
◆ジュウトウホウ、ジュウトウ
銃刀法違反のこと。
◆首検
犯人の写真や姿を見せて確認をとること。
◆ジュショウジコ
怪我をすること、受傷すること。
◆純トロ
シンナーのこと。
◆ショク、ショクシツ
職務質問のこと。
◆ショドウ(初動)
事件発生後の初動捜査のこと。
◆シンショウ(心証)
被害者に対する捜査員の印象のこと。
◆ジンテイ
対象者を確認できる情報のこと。
「免許証がないそうで、ジンテイがハッキリしません。」
◆Z号
暴力団関係者の用語用語。指名手配はB号。家出人はM号、などがある。
◆スジモノ、スジモン
暴力団関係者、ヤクザのこと。
◆前歴(ゼンレキ)
前科のこと。
◆ゾウヒン
盗難品のこと。
◆そうめん
逮捕のこと。
◆ゾロ
盗難品のこと。
タ行
◆タカトビ
海外逃亡のこと。
◆タコ
注射痕。タコのように見えることから。
◆タタキ
強盗
◆タレ
被害届のこと。
◆タレコミ
協力者からの情報、情報提供のこと。
◆タンパン
単独犯のこと。
◆帳場
捜査本部の事。捜査本部ができる事を「帳場が立つ」という。
◆デコイ
おとりのこと。
◆てんぷら
偽造ナンバープレート。てんぷらナンバーとも。
◆ドリンク
ノミ行為。ドリンクを「飲む」ことから。
◆トオバリ(遠張り)
遠くから被疑者を監視すること。
ナ行
◆ナガシ
街を回遊しながら行うスリ。
または、計画的でない衝動的な犯罪のこと。
◆ナシワリ
遺留品や証拠品などの出所、行方を探すこと。
◆なこ
ヘロインの事。粉の反転。
◆235(ニイサンゴ)
窃盗事件のこと。
刑法235条に窃盗の規定がある。
◆236(ニイサンロク)
強盗事件のこと。
刑法236条に強盗の規定がある。
◆ニンチャク(人着)
犯人、容疑者の着衣、身なり、人相のこと。
◆ニンドウ
任意同行のこと。
◆にんべん
偽造の事。偽造の「偽」のにんべんから。
◆ねむらす
殺人のこと。
◆のび
不法侵入。忍び込みの「のび」から。
ハ行
◆パイ
釈放のこと。
◆バイコロ
原付きバイクのこと。
◆爆処理(バクショリ)
爆発物処理班のこと。
◆はこ
交番のこと。
◆箱師
バスや電車内専門のスリ。
◆初荷
新年度初の逮捕者。
◆ハム
公安警察のこと。公安の公がハムに見えることから。
◆半落ち
容疑をだいたいは自白しているが、完全には落ちていない状態。
◆バン、バンカケ
職務質問。「こんばんは」と声をかけることから「バンカケ」。
◆ヒイコウイ、ヒイジアン
非違行為、非違事案。
つまり警察の不祥事の事。
◆PB(ピービー)
policeboxの意味。交番のこと。
◆PC(ピーシー)
パトロールカーの意味。
◆PM(ピーエム)
警察官の意味。police man。
◆PS(ピーエス)
警察署の意味。police station。
◆ひきあたり
容疑者を連れて犯行現場を調べること。
◆ビザイ
微罪処分対象事件のこと。
◆ビロ
サラリーマンの事。背広を着ている人が多いため。
◆フダ
逮捕状のこと。
◆ブタ箱
警察署の留置所のこと。刑務所の意味で使われる事も。
◆ブツ
違法薬物のこと。覚醒剤、大麻、ヘロイン、コカインなど。
◆ふみこ
窃盗の事。
◆フライパン
恐喝行為のこと。フライパンでアゲると「かつあげ」がかかっている。
◆ブンヤ
報道関係者、記者のこと。
◆ベキバショ
捜索するべき場所のこと。
「ベキバショを特定できないとガサをかけられないぞ」
◆別荘
刑務所。
◆弁当(ベントウ)
執行猶予の事。執行猶予中の事は「弁当持ち」。
◆ホシ
犯人。真犯人は「ホンボシ」ともいう。
◆ホシの数
警察官の階級を指す。
警察官の階級が星の数によって表現されていたため。
◆ポスト
立ち番をしている制服警官のこと。
◆ホトケ
死体、遺体のこと。
殺人事件などで使用される。
◆本店・本社・本庁
警視庁(東京の警察)のこと。
◆ホンボシ
真犯人のこと。
◆ポンプ
覚醒剤の使用に用いられる注射器のこと。
マ行
◆マエ
前科。
「確かあいつはマエ(前科)がある奴だろ。」
◆マエモノ
前科者。
◆まぐろ
轢死体。
◆マッポ
警察官のこと。
◆マトリ
麻薬取締官のこと。
◆マメドロボウ
性犯罪者。人の女を寝取る男の事を指すことも。
◆マルウン
運転手
◆マルガイ
被害者
◆マルコメ
精神的な病気を持っている人。
◆マルサク
捜索
◆マル精
精神的な病気を持っている人。
◆マルジー
暴力団のこと。
◆マルショク
職務質問のこと。
◆マルスイ
泥酔者
◆マルセイ
精神異常者のこと。
◆マルソウ
暴走族
◆マルタイ
対象者
◆マルツイ
追跡・追尾のこと。
◆マルバク
爆弾
◆マルビー(マルB)
暴力団担当刑事・暴力団対策課、または暴力団、暴力団関係者のこと。
◆マルボウ
暴力団担当刑事・暴力団対策課、または暴力団関係者のこと。
◆マルヒ
被疑者・容疑者
◆マルヘン
変死体
◆マルモク
目撃者
◆マワシ
輪姦のこと。
◆まんじゅう
死体のこと。
◆宮入り
事件が迷宮入りする事。未解決事件。
◆むくどり
詐欺、賭博の被害者。
◆ムショ
刑務所のこと。
○○組の組長は今、ムショに入ってますよ。
◆目隠し
互いに顔を合わせずに薬物などの受け渡しを行う事。
◆面バレ
顔を知られてしまっている事。
◆面割り
複数の対象者の中から被疑者を確認する事。
◆モサ
スリのこと。
◆モン
指紋のこと。
◆モンモン
入れ墨のこと。
ヤ行
◆ヤク
違法薬物全般のこと。ヤク中で薬物中毒者。
◆ヤサ
家のこと。
ヤサヅケは居住地を特定すること。
◆ヤッパ
刃物のこと。
◆宿帳
逮捕・勾留令状のこと。
◆ヤマ
事件の事。
◆ヤマミ
犯行現場を下見すること。
◆ゆみへん
強盗、強姦など「強」がつく犯罪。
◆よいあき
夜に行われる空き巣。
◆よこ
横領の事。
◆横目
銀行で目的以外の金融データのコピーをとる事。
◆ヨンパチ
被疑者逮捕から検察への押送までの制限時間48時間のこと。
ラ行・ワ行
◆ラジオ
無銭飲食。ラジオの無線と無銭をかけている。
◆リツバン(立番)
警察署や交番の入り口に立ち、監視、見張りをすること。
◆リンジョウ
現場に到着するのこと。
◆ルイハン(累犯)
繰り返し同じ犯罪を犯した人、犯す事。
懲役に処せられた者が刑の終了、または免除の日から五年以内に再び罪を犯して、有期懲役に処せられること。
◆レイセイ
令状請求。
◆レツ
共犯者のこと。「連れ」が変化して。
◆レンコン
リボルバー式の拳銃のこと。見た目がレンコンに似ていることから。
◆ロク
死体のこと。
◆ワイゴウ(Y号)
薬物使用歴照会のこと。
◆ワッパ
手錠の事
隠語は時代と共に変様する
数十を超える数多くの隠語を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
中にはテレビや映画を見て「知っている」という隠語もあったかもしれません。
実は、あまりにメジャーになりすぎた隠語は警察界では使用されなくなります。
なぜかといえば、誰かにその言葉を聞かれたとしても、怖がらせたり驚かせたりしないようにとの配慮からわかりにくい言葉を使用しているのに、世間に知れ渡ってしまっては意味がないからです。
そのため「ハジキ・チャカ(拳銃)」という有名な警察隠語も最近はあまり使用されないようになってきています。