犯罪捜査では、容疑者の取り調べから事実を聞き出し、その証拠を固める事によって事件の全容解明を目指すのが基本となります。
事件解決の大きな要因となる取り調べは、実際にどのように行われているのでしょうか?
取り調べについて
警察の取り調べは、基本的に証拠なり目撃者なり何かしらの原因がないと行われる事はありません。
全く見当違いの人が取り調べを受けることは無く、以下の様に何らかの形でその事件に関係する人がその対象になります。
・その人が事件に関している証拠があった。
・被害者、容疑者など事件関係者。
そのため、警察の取り調べを受けている時点で、ほとんどの場合が実際の犯人かその関係者である事がほとんどです。
※全くの関係のない冤罪というケースも少なからずあります。
取り調べが行われる時間
朝5時から夜10時までの1日8時間以内という制限があります。
任意の取り調べの場合、朝から取り調べを始めて夜になって解放した後、翌朝にまた任意の取り調べを求めて連行するという嫌がらせに近い形で取り調べが行われる事もあります。
ただし、このような露骨なパターンは容疑が固まっていて、なおかつ暴力団関係者など特殊なケースに限定されるようです。
取り調べの内容はどのようなものなのか?
取り調べの内容は対象の状況や状態によって様々な戦略が採られます。
大まかな流れとしては、雑談を交えながらコミュニケーションをとりつつ、確信を追求するというのが基本的なスタンスのようです。
容疑を認めている場合
雑談を交えながら、事件についての詳細を聞き出します。
聞き出す内容は、警察や検察が絵を描いたストーリーに沿うように整理され、自白と共に警察側の望む調書が作成されていきます。
認めている、協力している場合に関しては淡々と手続きが進んでいきます。
容疑を認めていない場合
警察が確保している客観的証拠を武器に、容疑者の矛盾点をあぶり出し、自白へと誘導していきます。
対象者に「圧」をかけたり、懐柔したりと、揺さぶりながら精神的に追い詰めていき、自白を引き出します。
その揺さぶりは経験則に基づいた絶妙なバランスの上に成り立っていて、実際に多くの犯罪者が耐えきれずに罪を告白する結果となり、数多くの事件が解決しています。
取調中に暴力を振るわれることはあるのか?
結論から先に言うと「ある」ようです。
もちろん、実際に取り調べを確認したわけではないので断言はできませんが、冤罪で逮捕されて取り調べを受けた人のインタビューや執筆書籍を読むと髪の毛を引っ張られたり、軽くこづかれる程度の暴力は存在していそうです。
青アザの様に証拠として残るほどの暴力は、後々に問題となるためか、現在ではまずありません。
※かつては、、。
取り調べの可視化がすすめば、このような問題も無くなっていくのかもしれません。
元ボクシング世界チャンピオンの亀田興毅さんも、中学生時代に西成警察の取調室で髪の毛を引っ張られた事があるとコメントしています。
素人が取り調べを受けた場合、まず凌ぎきることはできない
一般人が取り調べを受けた場合、まず凌ぎきることは不可能でしょう。
※もちろん容疑のない人間が取り調べを受けることはありません。
相手は海千山千のプロ。
何を言っても、うまく丸め込まれて、警察の思うように自動操作されている状態になっているはずです。
おそらく今までの人生で味わったことの無いような威圧感を感じる事になるでしょう。
完全黙秘は相当に難しい
「容疑者は黙秘している」といったニュースが報道されることがありますが、実際のところ完全黙秘というのは相当に難しいようです。
というのも、取り調べられている間は、この状況が何時間続くのか、何日続くのかわからないまま、目の前には強面の男がこちらを常ににらんでいる状態です。
そのような状態で完全黙秘を貫くというのは普通の一般人にできる事ではありません。
完全黙秘ができる人
◆何度も取り調べを受けた経験者
これは前科を持つ暴力団員などに多く、相手の出方や取り調べの行われ方を理解しているため、慣れている。
◆事件の罪が重すぎて自白できない
極刑・無期懲役クラスの事件の場合、全容を自白してしまうとすぐに捜査・裁判が終了して刑が確定してしまうため、少しでも生きながらえるために話したくても話せない。
◆宗教家・活動家など
宗教家や過激派の活動家は強烈な思想を持っているため、精神的に強い人が多い。
この手の容疑者が一番、手を焼くケースだといいます。
警察の取り調べの功と罪
先にも述べたように、警察の取調べに呼び出される時点でほとんどの場合が「クロ」
警察は言うまでもなく、「犯罪者」としての取り調べを行います。
そして、警察はその強烈な取り調べ圧力で自白を導き出し、多くの事件の解決を図ってきました。
日本の治安維持に大きく貢献している事はいうまでもありません。
ただ、その強引さが故に少なからず冤罪事件も引き起こしてきました。
割合にすれば、全体のほんのわずかですが、その人達の人生を大きく狂わせてきたのも事実です。
警察が生み出す光と影。
「罪を憎むが故に生み出される冤罪」は解決策のない難しい問題と言わざるを得ません。