近年、ぼったくりバーや暴行など悪質事件でニュースになることも多い「半グレ」
暴力団に所属せずに暴力団のような悪事を働く、新しい形の犯罪組織として主に都市部で活発に活動しています。
例え相手がヤクザであろうと、関係なく牙をむくとも言われる半グレですが、実際の半グレとヤクザの関係はどのようなものなのでしょうか?
元暴力団員に「半グレとヤクザ」の実情について取材を行いました。
結論から言えば、日本の裏社会ではヤクザが最強です。
ヤクザと半グレの違い
まずは、ヤクザ・暴力団と半グレの違いを説明しましょう。
ヤクザとは
◆構成員の年齢は幅広く、高齢者から若手まで人員は豊富。
◆組織化・制度化されているため、資金や資金源は潤沢。
簡単に言えば、ヤクザは組織化され一定の規律のもと統制が取られた集団。
会社のようにシステム化されており、シノギ(仕事)も資金も潤沢に準備・貯蓄されています。
半グレとは
◆中心となる年齢層は20代~30代。
◆詐欺やぼったくりバーの運営などその場限りの資金源が多く、経済基盤は脆弱。
◆東京や大阪など特定地域のみで活動を行う。
半グレは悪い言い方をすれば「その場しのぎの集団」で、人間関係やシノギ(仕事)の決まりが曖昧なまま活動しています。
曖昧な部分が多いため、仲間内や他のグループとの揉め事が絶えない。
親分(リーダー)や組織が明確化されていないため、揉めた後も落とし所が見つけづらく、トラブルが原因で一定期間活動後に解散するケースが多い。
ヤクザと半グレの地位関係
地位関係で言えば、半グレはヤクザの下位互換のような存在です。
ヤクザと半グレの関係では、以下の3つのパターンがあります。
2.半グレの活動に対して面倒を見たり・許可を与えている。
3.利害関係無く、半グレが活動している。
単純に不良がグループを作っているだけの半グレ団体もあり、常にヤクザとの利害関係があるわけではありません。
ただ、どのような関係であったとしても半グレの上にはヤクザが存在し、その関係が逆転することはありません。
また、半グレの中には暴力団にゲソをつけている(所属している)メンバーも少なくありません。
暴力団と半グレが闘ったら?
暴力団○○組と半グレが何らかの原因で揉めた場合はどうなるのでしょうか?
上記の図からもわかるように、暴力団○○組が勝利するのは明白で半グレ側が単独で勝つことはありえません。
ただ、暴力団○○組と揉めるような半グレであれば、おそらくケツモチの暴力団がいます。
最終的には暴力団○○組とケツモチの暴力団とで掛け合いが行われ、金銭的な話で解決を図るのが一般的な落とし所になります。
どうしてヤクザ・暴力団の方が強いのか
ヤクザには「やられたら、やり返す」という美学・哲学があります。
この哲学こそがヤクザのヤクザたる所以で、必ず報復をするからこそ相手がヤクザに恐怖を感じるのです。
どこの暴力団でも報復のためなら、懲役覚悟・命をも投げ出す組員が存在しており、カエシのできないヤクザは舐められてしまい業界で生き残っていけません。
一方、ただの不良グループである半グレにはそこまでの覚悟を持っている人材はそう多くはいません。
この時点でも結果は明白でしょう。
また、暴力団であれば、懲役に行ったとしても残された家族の生活費など組のサポートを受けられますが、半グレの場合は逮捕・懲役となれば家族の生活や仕事など全てを失う事になります。
ヤクザ・暴力団
・組長を中心に家族としてのまとまりがあり、組のために体を張れる人間がいる。
・資金があり、懲役になっても弁護士費用や家族の生活費など組の援助がある。
・裁判・警察対策、シノギなど様々な裏稼業のノウハウを持っている。
半グレ
・友人や先輩後輩関係で組織化されており、関係が強固ではない。
・資金力が脆弱でグループのために行動しても、サポート・見返りは少ない。
人材の数・質の他に、資金力や組織力にも大きな差があり、半グレが勝てる要素は全くないのが現実です。
小さい小競り合いのような喧嘩であれば可能性があるかもしれませんが、正面からぶつかって半グレがヤクザに勝つことはありえません。
歌舞伎町や大阪ミナミでも半グレのバックには必ず暴力団の影があります。