一般企業では会社が社員に対して給料を支払いますが、ヤクザの世界では全く逆で子分・舎弟達が組長に上納金を支払うシステムが確立されています。
ヤクザがどのように上納金を上納して、金額はいくらくらいなのか?
ヤクザの上納金のすべてを解説します。
上納金とは
上納金とは組に所属する子分筋、舎弟筋から毎月支払われるお金のこと。
内部では「会費」などと呼ばれています。
建前としては、組の看板を使わせて貰う代わりに代紋料を支払う形になっています。
誰に支払うのか
組長に直接手渡しするところもあれば、金銭の管理を行っている役職に支払う所もあり、組によって様々です。
複数所属している場合
人によっては自分の組を持ち、その上部団体にも複数所属している場合があります。
その場合は、所属している組にそれぞれ上納金を支払う必要があります。
【例】
2次団体「若中」、3次団体「若頭」、4次団体「組長」として活動するAさんの場合。
4次団体は自分の組なので、配下の組員から上納金が集まります。
そして、2次団体の組長と3次団体の組長にそれぞれ指定金額を上納します。
どうやって支払うのか
現金を手渡しで毎月、支払います。
組事務所や組長宅等に集まる定例会の時に支払うことが多いようです。
銀行振込など、記録が残る形での支払い方法は採用されていません。
銀行振込を仮に使用すれば、一瞬で警察にバレてしまい逮捕されてしまいます。
上納金と税金
そもそも申告をしていない金銭であるため、上納金に税金はかかりません。
しかし、九州の暴力団「工藤会」の上納金が所得と認定され脱税容疑で総裁が逮捕。
2021年に所得税法違反で実刑判決が下されました。
今後は部下からの上納金の流れを警察に把握された場合、今回の件と同様に脱税で実刑になるケースが増加すると思われます。
上納金の金額
上納金の金額はピンキリで組織の規模や役職によって異なります。
本家に近いほど金額は上がり、上納金の金額には大きな差が発生します。
また、東京や大阪などの大都市圏と地方でも違いがあり、都市部ほど最大値がより大きくなる傾向にあります。
下記は目安となる金額ですが、あくまで目安で立場によってその金額は様々です。
組員:3万円
幹部:10万円
若頭補佐:15万円
若頭:20万円
有力団体の場合
六代目山口組の会費:85万円
その他に飲料水や雑貨の購入を迫る集金システムで月に100万円を超える上納金になっていた。※報道発表
山口組の場合で言えば、2次団体の組長クラスで月に200万円から300万円、年間で3000万円程度は必要になります。
※上納金を含めた組関係の資金
義理事:数十万円~
臨時の費用:数十万円~ ※組長の誕生日や組の決まりごとの徴収など
暴対法が強化され業界が困窮している中、年間に数千万円を差し引かれては直参といえども組運営は相当に難しくなります。
その結果として、山口組の分裂騒動にまで発展したと言われています。
組長の上納金
単純な計算方法として、配下の組員x上納金の平均で総額を割り出す事が可能です。
山口組組長「司忍さん」クラスであれば配下の団体から、1月で数千万円から数億、年間にして10億円程度は上納されているという予測があります。※報道発表
遅れた場合はどうなるのか
遅れた場合は相手の対応次第。
事情を聞いて待ってくれる人もいれば、問答無用にボコボコにヤキを入れられることもあります。
上納金が支払えなくなった場合は最悪のケースでは「破門」となり、業界からの引退を強制されます。
ただ、そうならないように同業者や闇金から金を借りるなどして対応する人がほとんど。
会費だけは不払いにするわけにはいきません。
最近は支払いができずに、破門にされる人が増加していると聞きますが、、。
上納金は何に使用されるのか
上納金のすべてが組長の取り分、生活費になるわけではありません。
事務所の維持費や懲役を努めている組員の弁護士費用や差し入れなど、組に関わる必要経費にも充てがわれます。
金を持っている人物は上から好まれ出世する
例えば、あるシノギが成功し、余裕のある組員Aさんがいたとします。
この組員Aさんは自分の組だけに月3万円の上納金を支払っていました。
噂を聞きつけた自身の組長から
おまえ、最近シノギ頑張っているみたいだな。
噂は聞いてるぞ。役職を若頭補佐に上げてやろう。
※会費は月10万円に増加
と役職を引き上げられ、それに応じて上納金も増加します。
しばらくすると、噂を聞きつけた上部団体の組長から
おまえ、勢い凄いらしいな。若中としてウチの組に入ってこい。
※会費は月3万円追加
と上部団体にスカウトされ、それに応じて上納金も増加します。
「若頭補佐」としての上納金:10万円
上部団体「若中」としての上納金:3万円
合計:13万円
組長や上部団体の組長は金を持っている人物をみつけて、より自分に金が流れてくるように役職を上げたり、組に引き入れようとします。
もちろん、お金だけが目当てではなく、シノギができるということは人望がありヤクザとしての才覚があるということですから、魅力的な人物であることは間違いありません。
金を上納させることができ、なおかつ、組員Aさんを慕う部下も手中に収めることができるため、一石二鳥なのです。
また、組員Aさんも上部団体の組員になればヤクザとして格が上がり、よりシノギがしやすくなるメリットもあります。
※最近は出世したとしてもシノギがしやすくなるとは限らず、結果として上納金の金額だけ増えていくという憂き目にあう可能性があり、出世したがらない組員も増えている。
これが「カネを持っているやつは出世する」からくりでもあります。