昔は黒塗りのベンツやセルシオを乗り回していたヤクザも、現在ではあまり目立たない車種を選択するケースが増えてきました。
経済的に困窮している事情もありますが、かつてのようなギラギラした高級車は好まれなくなってきており、暴対法が強烈に作用している影響が伺えます。
元ヤクザから取材を行い知り得た、ヤクザの車事情を紹介します。
ヤクザに人気NO.1の車種は
ヤクザに一番人気の高い車はアルファード・ヴェルファイア(トヨタ)です。
高級感があり、更に移動空間として優秀なことから人気があります。
かつての定番であった黒塗りのベンツも根強い人気がありますが、一般同様に裏業界でもセダン人気は減少しています。
ランクに応じたヤクザの人気車種を紹介します。
組長クラス
組織の大きさにもよりますが、組員を多く抱える組長クラスであれば、基本的に運転手・付き人が同行するため自身で運転することはあまりありません。
そのため、後部座席が大きく快適なアルファード・ヴェルファイア(トヨタ)、エルグランド(日産)を好む傾向にあります。
かつては厳ついベンツやレクサスも人気がありましたが、アルファードなどのワンボックスカーと比較すると快適さに大きな違いがあるため、現在では大きなワンボックスカーが主流となっています。
幹部クラス
自身で運転することが多い幹部クラスの場合はヤクザのイメージ通り、ベンツやレクサスの高級セダンを好む傾向があります。
中にはカスタマイズしたハイエースに乗る人もいます。
その他
その他に関しては高級セダンに乗る人やボロボロのセルシオ、プリウス、軽自動車に乗る人まで千差万別です。
どのような車に乗るのかは「シノギ」(収入)に左右されることが多いようです。
乗っている車のランクと収入が比例関係にあるのは、ヤクザも一般人も違いはありません。
キャデラックやリムジンなどの大型外国車は人気がない
かつてのヤクザはキャデラックやリムジンなど大型外車を好んで乗り回していた時代もありました。
「いかつい車」を見せびらかす事で自身の権力を周りに誇示することがステータスでもあり、憧れでもあったのです。
しかし、暴対法が強烈に作用している現在では、目立つ行為をすれば即時に警察の監視対象となり不利益を被ってしまうため、過度に目立つ外車を好んで乗る人はほとんどいなくなりました。
どのように車を購入するのか?買い方は?
現在、暴力団員が正規ディーラーで本人名義で車を購入する事はできません。
理由は反社会的勢力に対してからは利益を得ないという業界の規定が存在するためで、買えないというより「売ってもらえない」に近い状況です。
身分を隠して購入すると詐欺罪が成立し、警察に逮捕されます。
暴力団員の身分を隠して車購入 詐欺容疑で山口組直系組長とディーラー社員ら4人逮捕 兵庫県警
暴力団員の身分を隠して車を購入したとして兵庫県警は1日、詐欺容疑で指定暴力団山口組直系「奥州会津角定一家」組長、波入信一(67)=福島市丸子=と同組幹部、金成たか志(45)=神戸市長田区=の両容疑者ら4人を逮捕したと発表した。
正規ディーラーで購入することは不可能ですが、息のかかった中古車屋やリースという手段があります。
本人名義以外なら入手する方法は他にもいくつか存在します。
・中古車屋や個人から購入
・車をリース
・法人を持っているなら会社名義で購入
名義貸しをするとどうなる
仮にヤクザが使用すると知っているのに、名義を貸す形で代理購入した場合、身分を隠して車を購入したとして逮捕されることがあります。
東京区検は暴力団関係者に名義を貸して運輸局に虚偽の車の登録をしたとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪で、フジテレビ元記者の男性社員(32)=東京都品川区=と、指定暴力団山口組系組関係者(59)=新宿区=を略式起訴した。
東京簡裁は同日、社員に罰金30万円、組関係者に罰金40万円の略式命令を出した。社員は即日納付した。
ヤクザがベンツなど高級車に乗る理由
ヤクザがメルセデス・ベンツを好む理由については、一概には説明できない部分もありますが以下のような要素が考えられます
高級感とステータス
高級車の所有は金銭的な成功や社会的地位を示す一つの象徴。
ヤクザがベンツを選ぶ理由の一つは、このステータス主張の一環と考えられます。
威嚇
そもそも威圧が好きな人達ですから、高級感があり他車に威嚇ができる車を好みます。
多少乱暴な運転をしても、文句を言われることはありません。
耐久性と信頼性
高級車は高品質で信頼性・耐久性があります。
襲撃や銃撃などのトラブルに会いやすいヤクザにとって重要な要素となります。
快適さとパフォーマンス
ベンツやレクサスなどの高級車は、優れた快適さとパフォーマンスを提供します。
これらの車は長時間の運転でも快適で、必要な場合には素早く機動することができます。
ヤクザの車の見分け方
ヤクザの車の見分け方はありません。
後部座席にスモークが貼られていることが多いくらいで、大物組長になるほど普通の車に乗っています。
外見は普通ですが、ドア内部に鉄板をいれたり、窓ガラスに特殊なアクリル板を貼ったりと防弾車仕様に改造されていることもあります。
ヤクザの車のナンバー
かつてはわかりやすく893というナンバーを使用している人もいましたが、現在ではそのような目立つ行動をとる人はいません。
後は、パチンコ好きが多いためか「7」「777」などゲンの良い数字を好んだり、オイチョカブの最上位数字である「9」を好む人も多いようです。
ゾロ目や気に入った数字など、特に一般人と変わりはありません。
後は警察にバレやすかったり、敵対組織に尾行されやすかったりするため、あまりわかりやすいナンバーは選ばない人が多かったような気がします。
ヤクザでも車の任意保険に入ることができる
詐欺事件に悪用されたりと任意保険のトラブルが多く、暴力団排除の観点からもかつては暴力団員の任意保険加入が制限されていました。
しかし、任意保険に入れない暴力団員所有車が事故を起こした場合、任意保険がないことで被害者に大きな損害が発生する恐れがあるため、被害者救済の観点からヤクザの車でも任意保険の加入が認められるようになりました。
現在では暴力団関係者であっても、問題なく車の任意保険に加入することが可能です。
ヤクザが事故を起こした場合
一般人同様に、警察を呼んで現場検証と事故処理を行います。
ヤクザだから事故処理は行われないという事はなく、このあたりは一般人と何も違いはありません。